<本公演に寄せて> 原 善伸
一昨年ソルの足跡をたずねてパリを訪れました。ソルが長期滞在したファヴァールホテルに宿泊し、ソルの葬儀が行われた教会や墓地などを歩き回りました。帰国後新しいCDの録音に取り組み今年4月に無事録り終えました。今回のリサイタルはその発売記念です。プログラムは新CD「ソル/ギターのための大ソナタ」から〈大ソナOp.22〉全曲と前作CD「ソル/ギターのための幻想曲」から〈パイジェッロの主題による幻想曲Op.16〉が中心となります。どちらも30分近くかかる大曲です。このような古典派のギターの大作が最近の演奏会で弾かれることはほとんどありませんが、ベートーベンが確立した古典派の音楽様式に迫るべくソルが世に問うた力作ですので、ソルを敬愛する者としてどうしても弾いておきたかった曲です。
今回もオリジナルの19世紀ギターにガット弦を張り指頭奏法で演奏します。ソルが推奨しおそらく自身も愛奏したに違いないラコート(1828年)の響きをお楽しみください。


