時代解説と知られざる名品で綴る「髙橋弘治 バロック・チェロ・リサイタル」の第四回は、17世紀から18世紀にかけ、ヴェネツィア楽派の名望のもと西欧諸国の音楽家たちを魅了したヴェネツィアに華開いた音楽をお届けします。学生時代をイタリアに過ごしたドイツ=ヴュルツブルグ近郊の領主ルドルフ・フランツ・エルヴァイン・フォン・シェーンボルン伯は、ヴェネツィアの音楽に魅了されたアマチュアのチェリストとして、半世紀間に及ぶ膨大な楽譜コレクションを後代に残しましたが、このコレクションにしか名をとどめない音楽家もいるほどの貴重な資料でもあります。彼自身、音楽家プラッティの息子の一人の名づけ親にもなるなど、玄人はだしのディレッタントだったと考えられています。
今回は、学識広く、そして楽想豊かなバロック・ヴァイオリンの赤津眞言さん、各所多忙に活躍中の歌心溢れるチェンバロの上羽剛史さんをお招きし、この偉大なコレクションの中からの選曲を中心に、当時の音楽通が心躍らせた名品を紹介します。どうぞお楽しみください!