中丸 まどか 2/20演奏会に寄せて < 出演者一覧

ヴァイオリンという小宇宙と「無伴奏」

 16世紀初頭に突如と現れたヴァイオリンという楽器は神秘に溢れた楽器です。薄く削った木の箱に羊の腸を撚った弦を張り、それを馬の尾の毛で擦る。原始的とも言えるシステムをここまで芸術的なオブジェクトに仕上げた最初のヴァイオリン製作者に私はまず感謝の念を捧げます。

この楽器は音楽史上絶えず音楽家を刺激魅了し続け、デュオ、カルテット、コンチェルト、オーケストラ等々あらゆる音楽シーンに携わってきました。その中でたった一挺のヴァイオリンが表現しうる可能性と限界を追及しようと作曲家達が生み出した作品がいわゆる「無伴奏」と呼ばれるジャンルです。ただ単に「伴奏を取り払っただけ」では良い作品とは呼べません、ヴァイオリン一挺が独立して完璧な小宇宙を表現できてこそ、その作品は「完成されている」というべきでしょう。いわずと知れたJ.S.バッハの「シャコンヌ」はヴァイオリンがもはや小宇宙に収まりきらず大宇宙まで拡大する傑作です。まるでヴァイオリンがおとぎ話を紡ぎだすかのようなG.P.テレマンの「ファンタジー」。今回のプログラムにはバロック時代に作曲された数々の作品とともに、私の大切な同僚であるベルギー人の作曲家、オルガニスト、チェンバリストのワウター・ドゥコーニンク氏による作品も取り上げました。D.ブクステフーデのオルガン曲をヴァイオリン一挺で表現する試みや、コラール「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」から霊感を受け創られたコラール・パルティータなど、いづれも日本初演となります。どうぞ、お聞き逃すことの無きよう!それでは17世紀のアムステルダムで誕生した私の大事な相棒「ヘンドリック・ヤコブス」と共に当日汐留ホールにて皆様にお会いできることを心待ちにしております。

プロフィ―ル

3歳より故・白井英一氏のもとでヴァイオリンを始め、瞬く間にその虜になるとともにピアニストの姉とデュオを楽しみながら育つ。その後白井英治氏、澤和樹氏に学び2000年東京芸術大学器楽科ヴァイオリン専攻入学、卒業後同大学院古楽科にて若松夏美氏にオリジナル楽器奏法を学び、2006年に論文『H.I.F.ビーバーのヴァイオリン曲におけるチェコ音楽の要素について』を修め古楽科の修士課程を修了。在学中より演奏活動を始め、オーケストラではバッハ・コレギウム・ジャパン、オーケストラ・リベラ・クラシカなどの古楽アンサンブルに参加するほか、ライプツィヒ室内管弦楽団来日ではメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のソリストを務め好評を受けるなど様々な演奏活動を行った。2006年、古楽の世界をさらに深く知るため文化庁・新進芸術家海外留学制度並びにベルギー政府の各奨学金の支援を受けベルギーに渡りブリュッセル王立音楽院に入学、シギスヴァルト・クイケン氏のもとでバロックヴァイオリンの研鑽を積む。在学中よりベルギーの主要な古楽オーケストラに参加し、2009年にディプロマを得て修士課程を卒業、現在はフリーランスのヴァイオリニストとしてベルギーを拠点にヨーロッパ各地で演奏、レコーディング活動を行っている。Hildebrand Consort(ヒルデブラント・コンソート)を始めその他様々な古楽オーケストラのコンサートミストレスとして活躍中。2015年にはベルギー王室、国王夫妻の御前演奏でトップを務め、その映像が世界中に放映された。またソロや室内楽の演奏活動も充実しており、チェンバロとのデュオ、ロマン派の室内楽、ベルギー発こども向けの音楽劇、日本を代表するオイリュトミスト、はたりえ氏とのコラボレーションなど、豊かなレパートリーと経験を活かした個性的なプロジェクトを多数展開している。

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